病床逼迫は長年の政策のツケ 「毎日」の報道

こうした報道をしてほしいと思うような良い記事が、毎日新聞324日付に掲載されました。鹿児島大学の伊藤周平教授に聞く「もろ過ぎた『医療大国』の内実 病床逼迫は長年の政策のツケ」と言うタイトルの記事です。

「わが国は世界一病床が多いのに、なぜ医療崩壊」「民間病院が協力しないから」などと、まことしやかな医療機関バッシングが行なわれています。コロナ対策の失敗を棚に上げ、責任を医療機関になすりつけるような心無い仕打ちは、日々感染の恐れと対峙し、もともと諸外国と較べても医師・看護婦数が少ない人手不足のなか、待遇も不十分なまま診療や看護にあたり、あろうことか差別、偏見にもさらされている医療従事者が、これでは報われないと悲しくなります。

そうした時にこの記事が、医療供給体制が逼迫した背景に、国の医療費抑制策、感染症病床の削減があることを指摘。国産のワクチン開発の遅れも。そして国の政策誘導の結果、民間病院ではコストのかかる急性期病床、感染症病床に代わって少ない医師・看護師の配置で住む療養型の病床が多くを占めるようになり、感染症の受け入れは人手や設備の必要からも簡単に対応できず、もとより採算ぎりぎりの経営状況なので確実に赤字になってしまうこと。第1波後には、感染症病床をもっと増やしておくべきであったし、足りない分を見越し軽症者用の宿泊療養施設の充実や、致命的な人手不足、急務な医療従事者の待遇改善にふれていて、わが意を得たりの思いです。

記事ではさらに、思い切った感染症対策も打てない手薄な生活保障、全部が複合的に絡まって一挙にしわ寄せが出たのが、第3波で起きたことであったこと。公的病院を削減する「地域医療構想」の見直しや、不公平税制の見なおしによる財源確保、国の政策の根本からの見直しの必要を明らかにしています。

読んでおられない方は、ぜひご覧いただければと思います。

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